【管理職向け】うつ病からの復職者を戦力にしていくには。

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【管理職向け】うつ病からの復職者を戦力にしていくには。

うつ病で休職していたチームメンバーの復職。

管理職、チームリーダとしては戦力復帰という意味でも嬉しいですね。

一方で、復職者とどのように接していくべきかというのは悩みどころです。

この記事では、復職者をチームメンバーに持つ管理職・リーダ向けに【復職者との接し方】【復職者をメンバーに迎えて戦力を上げる】マネージメントについて事例を含めてご紹介します。


復職者が加われば戦力は上がる

話の前に、復職したということはメンバー増なので、チームとしてより生産力が上がります。

他にメンバー異動がない場合、"休職前"の戦力よりかは下がっていたとしても、"休職期間"より増員され戦力は上がります。

復職された方には失礼な言い方ですが、チームの抱える雑務だけでもやってもらえれば【期待値の戦力にはなっていない】という可能性はありますが【戦力が下がった】とはなりません。

つまり「復職者に個別対応しているため余計に手間がかかっている」は、管理職・リーダである自分の能力不足をアピールしていることになります。

管理職・リーダが上司に相談するのであれば「生産力を更に上げるにはどのようにすれば良いか?」といった視点で話しましょう。


復職は2パターン

本題ですが、復職時は2つのパターンに大別されます。
1:休職前と同じ部署で復職
2:別の部署(転職含め)で復職
1の場合、仮に職場に原因があるなら改善していないと再発の可能性があります。

そもそも、メンタル不調の原因を明らかにするのは難しいですが、それでも職場改善の手を何かしら打ちましょう。(詳細後述)

2の場合、以前の職場とこれからの職場でどのような違いと、逆に同じ部分があるのか知っておくと良いです。

個人的には【同じところの方が大事】と思っています。(詳細後述)


休職前と同じ部署で復職

不調の原因が職場になかったとしても【必ず何かしら手を打ちましょう】。
(不調の要因が職場にもあると思うならなおさらです。)
必ず手を打つ理由3点 1:復職者の戦力を高める(働きやすくする)環境を構築
2:再発による戦力ダウンリスク軽減
3:手を打ったという実績
各理由について分けて説明します。

1:復職者の戦力を高める(働きやすくする)環境を構築

そもそもの話、人材マネージメントとしてメンバーの戦力を最大化させることは当然の責務だから対応します。そしてし続けるべき作業です

もちろん過剰な業務をさせる意味ではありません。

メンバーにとって働きやすい環境をすることで生産性を向上させる意味です。

例えば、以下のような対応があります。
課題:周りの視線が気になる
対処:パーティションにする

課題:対外折衝はまだ負担
対処:担当者を対外窓口と実作業の切り分け

課題:上司・同僚との人間関係
対処:【暫定対応として】対象者間の直接の会話はさせない
コストをかけてやることよりも、まずは【ちょっとやってみる】ぐらいでスタートします。

その対応に効果あるなら、費用対効果を考えた対処を考えればよいです。

例えばパーティション設置はお金がかかりそうですが、端の席にしたり、ラックやメッシュパネルにカレンダーなどを掛けた簡易版からスタートすれば大したコストにはなりません。

段ボールで分けた事例もありますがちょっと見た目がね。。。

2:再発による戦力ダウンリスク軽減

メンタル不調の原因が職場にあるかどうか関係なく、再発してしまっては戦力ダウンになります。

これだけです。

復職者にとっても再発は望ましくないので、相談しながら対応を検討しましょう。


3:手を打ったという実績

1つには、復職者に向けて何か手を打っているということを復職者本人に知ってもらうためです。

職場での負担減となれば、今後の体調の変化が何に起因するのか選別するのに役に立ちます。
※具体的な選別は本人と主治医に任せましょう。


2つには、【職場でもフォローを行っている】という上司への報告の意味です。

例えば、下記サイトではうつ病の再発率は60%と記載されています。
外部リンク 厚生労働省:職場復帰のガイダンス(働く方へ
(復帰後何年間で60%なのかまでは記載が見当たりませんでした)

目に見えるリスクなのですから、何かしら対応を行うのは当然のマネージメントです。

うつ病だけ特別にフォローを、、、というのではありません。

チーム内には小さいお子さんの面倒や介護のため、早め退社・遅めの出社が必要な場合もあります。

【生活上、業務に影響のある課題】をどのように対処しているか(バランスを取っているか)を、上司から管理職・リーダに問われるのは今や当然だからです。


別の部署(転職含め)で復職

同じ職場に復職したのと異なり、これまでの働き方といった情報は入手しにくいです。

しかし、それは健康な人であっても同じことです。

まず、履歴書や面談を通して復職者のことを知りましょう。社内異動であれば前の部署の人から聞いてみてもいいかもしれません。

ピンポイントで聞き出すのは難しいかもしれませんが、私のお勧めとしては以下を抑えたいです。
1:以前の業務と今の業務の違い
2:逆に同じことは何か?
逆説で記載しているようなものですが、それでも2が重要だと思っています。

1:以前の業務と今の業務の違い

1は、例えば同じ社外交渉でも、相手が顧客なのか、下請けなのかで緊張度は変わってきます。
※下請けだから楽というわけではなく、相手を気にしすぎてしまって負担になってしまう場合もあります。

2:逆に同じことは何か?

これが重要と思うのは、成果を出しやすく、復職直後からの業務計画を立てやすいからです。

ここでいう“同じこと”とは、例えば担当業務は変わったとしても作業としては、エクセルを使ったデータ入力による管理であることは変わらない、といったことです。

こうしたことを検討するにはある程度の業務の洗い出しが必要です。

例えば以下のような内容です。
●今までの業務内容
使用するツール:主にエクセルとメール
作業内容1:プロジェクトから上がってくる日程情報をエクセルに入力
作業内容2:日程遅延の問題があれば担当者にアナウンス
作業内容3:週1回の定例会でプロジェクト全体の日程の情報共有

●これからの業務内容
使用するツール:主にエクセルとメール
作業内容1:購買より上がってくる製品の部品価格をエクセルに入力
作業内容2:利益率が規定値を上回るなら担当者にアナウンス
作業内容3:週1回の定例会で製品の利益率を情報共有
これなら情報入手元と報告先が異なるものの、作業内容に類似性があると言えそうです。(業務量の視点もあるといいですね)

もし“これからの作業内容”に以下の作業が加わっていると復職者にとって未知の負担増と考えられます。

作業内容4:作業内容1,2の情報から改善案を検討

事例の復職者にとって経験の無い作業なので、人一倍負担に感じてしまう可能性があります。

こうした場合、以下のような対応策があります。

・復職者は前の業務と似ている作業内容1,2まで作成。定例会での報告は上司が行う。

・慣れてきたら定例会での報告まで復職者が対応。ただし、懸念点の解決は別担当にて対応。

こうした対処ができれば、復職者に作業内容1,2をやってもらう分、他のメンバーは別の作業を行うことができ、チームとして戦力向上となります。


■まとめ

今回の記事では管理職・チームリーダ向けに如何に復職者を戦力として迎え入れるかを事例を含めてご紹介しました。

復職者の体調に個人差があるので一概に言えない点はあります。

管理職・リーダの方は、医師ではないので治療をするわけではありません。

目指すところは、戦力の最大化と復職者本人の働きやすさが上手く一致する点を探ることです。

そうした課題は復職者に限らずメンバーの数だけ千差万別と考えれば、あまり大げさに考えるほどではありません。

なぜなら多くの場合、一定の復調が見られるから医師の合意のもと復職しているからです。

例えばスロースタートしつつ、働きやすい環境を構築するというのは、新しいメンバーに対して誰にでも当てはまります。

メンタル不調だからと先入観に囚われず【どういった環境で戦力を上げやすいか?】ということを念頭にチームマネージメントを構築していきましょう。

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